健康にいいと愛用している方も多いオリーブオイル。サラダ油の代わりにしたり、ドレッシングなどにもよく使われています。
しかし、「日本のオリーブオイルは偽物が多い」、「嘘だらけ」と言われることも多く、さまざまな書籍でも取り上げられています。
そのため、「なぜ日本のオリーブオイルは偽物が多いの?」「偽物だとなぜダメなの?」と気になる方も多いかもしれません。
この記事では、日本のオリーブオイルに偽物が多い理由と本物との見分け方、
偽物を使い続けてはダメな理由を解説します。ぜひ参考にしてくださいね!
日本のオリーブオイルに偽物が多い3つの理由
実は、もともとオリーブオイルの偽装には長い歴史があります。
オリーブオイルの品質の区分けがはじまったルネサンス期のヨーロッパで、すでに不正があったといわれています。
一般的に、一番品質が良いとされるのがエキストラバージンオリーブオイルです。
品質がいい分、価格も高くなる傾向があります。
利益を得るために品質の悪いものを偽装し、エキストラバージンオリーブオイルとして販売していたのです。
その中で、少しずつ品質を確かなものにしていこうと、世界的に基準が作られるようになりました。
そのため、基準に満たないものは、だんだんと認められなくなってきたのです。
しかし、未だに日本で売られているエキストラバージンオリーブオイルの約9割が偽物だと言われています。
その理由は、以下の通りです。
- 日本の品質基準と国際基準が違うため
- ラベルの原産国はボトル詰めされた国であるため
- JAS規格に違反していても処罰されないため
それぞれくわしく解説していきます。
日本の品質基準と国際基準が違うため
1つ目の理由は、オリーブオイルの品質を決める基準が、日本と世界とでは違うということです。
エキストラバージンオリーブオイルは、世界的に「IOC」と呼ばれる協会が品質基準を定めています。しかし、日本はこの「IOC」に加入していません。農林規格である「JAS」の基準を採用しています。
【世界的な「IOC」のエキストラバージンオリーブオイルの基準】
・品質を9段階で評価
・酸度が0.8%以下は最高品質
・官能検査がある
【日本の「JAS」のエキストラバージンオリーブオイルの基準】
・品質を2段階で評価
・酸度が2.0%以下は最高品質
・官能検査がない
IOCでは品質を9段階という細かいランクに分けて評価し、香りから品質を判別する官能検査まで取り入れられています。
しかし、JAS規格では品質は2段階でしか評価せず、官能検査も行いません。酸度の数値にも大きな違いがあります。
そのため、世界的にはエキストラエバージンオリーブオイルとしては規格外であっても、日本においては認可されます。
堂々と「エキストラバージンオリーブオイル」と名乗って販売されているのです。
ラベルの原産国はボトル詰めされた国であるため
2つ目は、日本の法律では、最終的にボトル詰めされた国が原産国になるためです。
仮にイタリア産として販売されているオリーブオイルであっても、中身はイタリア産とは限らないということです。
たとえば、スペインで栽培されたオリーブを使ってギリシャでオイルとして作られても、イタリアでボトル詰めされていれば「イタリア産」となります。
実際に、イタリアで日本に輸出されたオリーブオイルの量と、日本がイタリアから輸入したオリーブオイルの量はかけ離れているらしく、どこか他の国が「イタリア産」として日本に輸出しているということがわかるのです。
そのため、ラベルに表示されている原産国は、製造した国ではないと思っておいた方がいいでしょう。
JAS規格に違反していても処罰されないため
3つ目の理由は、JASの基準を満たしていなかったとしても、とくに処分や処罰がないからです。
仮にJAS規格から外れた商品であったとしても、法整備もされていないため追求されることがありません。そこまで厳密に品質を求める必要がないのです。
さらに、日本で販売されているオリーブオイルの原料は「誰が・どこで・どのように」育てたかがわからない場合がほとんどです。
安価で販売されている商品の中には、他の油でかさ増しされたものも混じっています。
専門の書籍でも、コストの安いひまわり油やピーナッツ油など、オリーブオイル以外の食用オイルを混ぜているケースが多いのです。
見た目で判別できないように、本物のように緑色の色素を混ぜていることさえあるのです。
参考:
なぜ偽物のオリーブオイルは使っちゃダメなの?
できる限り、偽物のエキストラバージンオリーブオイルは使わないのがおすすめです。
単純に体に良くないからです。
偽物のエキストラバージンオリーブオイルを使い続けると、以下のように健康を害するおそれがあります。
- トランス脂肪酸が万病の元になる
- 体がサビついて老化が進む
- アレルギー症状につながる可能性がある
- 発がん性の可能性がある
日本の基準で販売されている偽物のエキストラバージンオリーブオイルは、体に悪いトランス脂肪酸を含んでいる可能性が高いです。トランス脂肪酸といえば、マーガリンやショートニング、揚げ物、洋菓子などに多く含まれている、体にとって病気のエサといわれるものです。
また、エキストラバージンオリーブオイルに期待される、アンチエイジング効果のあるポリフェノールもほぼ含まれていません。体を酸化させてサビつかせてしまい、老化を進ませてしまうのです。
さらには、高温にさらされ酸化が進んでいる油は「過酸化脂質」となり、発がん性の可能性もあります。
加えて、混ぜ物として使われたひまわり油や大豆油、キャノーラ油がアトピーや花粉症などにつながるおそれもあります。ひまわり油や大豆油などは体の炎症を起こしやすいオメガ6に分類される油です。
アレルギーが悪化するだけでなく、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の原因にもつながる可能性があります。
以上のように、偽物のエキストラバージンオリーブオイルを取り続けてしまうと、体に害を与えると言えるのです。
偽物のオリーブオイルの見分け方のポイント8選!
では、オリーブオイルの偽物と本物を見分けるにはどうしたらいいのでしょうか。
ここからは、見分けるポイントを8つ紹介します。
- 遮光性のあるボトルに入っているか
- 酸度が0.8%以下か
- 品評会などの受賞歴はあるか
- オーガニック認証マークがついているか
- コールドプレス製法で作られているか
- サイズが大きすぎないか
- 1mlあたり3円以上の価格帯か
- 味見をして風味がいいか
ひとつずつ見ていきましょう。
偽物のオリーブオイルの見分け方①遮光性のあるボトルに入っているか
まずは、遮光性の高いボトルに入っていることが最低条件です。
光に弱いオリーブオイルは太陽の光だけでなく、蛍光灯の光を浴びるだけでも劣化してしまうからです。
品質のいいオリーブオイルは、光からの影響を最小限にするために濃い緑色や黒っぽいビン、特殊なフィルムを貼ったビンなどに入っています。
しかし、日本ではプラスチック製のボトルに入ったものも多く販売されています。
コスト面では安価で販売できるメリットがありますが、ビンと比べて酸素を透過させ、酸化しやすいデメリットがあるのです。
品質をキープするという点では、プラスチック製の容器は避けるのが無難です。
濃い色のビンや缶、陶器など、光を通しにくいボトルに入ったものを選びましょう。
偽物のオリーブオイルの見分け方②酸度が0.8%以下か
オリーブオイルの酸化の度合いを指す「酸度」も重要です。
酸度が低い商品ほど鮮度がいいと判断されます。
酸度が高いと酸化も進んでおり、品質がいいオリーブオイルとは言えないからです。
IOCにエキストラバージンオリーブオイルであると認められるためには、酸度が0.8%以下という基準をクリアする必要があります。
そのため、酸度が0.8%以下の商品は、ある程度品質が良いと言えるでしょう。
英語表記の商品だと、「acid」や「acidity」と表記されているのでチェックしてみましょう。
偽物のオリーブオイルの見分け方③品評会などの受賞歴はあるか
品評会などで賞を取っているかもチェックしてみましょう。
なんらかの受賞歴があれば、安心して使える目安になります。
ワインと同じように、オリーブオイルには数々の品評会が存在します。
規模の大きなものだと、国際エクストラバージンオイル品評会というものがあります。
各国から多くのオリーブオイルが集められ、世界トップクラスのテイスターを審査員に迎えてランキングを付けていきます。
どの商品かわからないように目隠しをして、ブラインドテイスティングで審査します。
品評会である程度の評価を得た商品は、各主催者から認められた証でもあるため、安心できるでしょう。
偽物のオリーブオイルの見分け方④オーガニック認証マークがついているか
オーガニック認証マークがついている商品は、ある程度の品質が期待できます。
無農薬で作られており、規定の条件をクリアした商品のみが得られるもので必ずマークがついています。
たとえば、「EUオーガニック認定」の商品は、栽培から消費まですべての過程でEU規定基準をきちんと守っている必要があります。専門の機関によって定期的な検査を受けていなければなりません。
また、「DOPマーク」は条件を完全に守った製品にのみ認められる、非常に認定されることが難しいマークです。
オーガニック認証マークがついたものは、一定の基準を満たしている商品であるため、値段が同じであればマーク付きの商品を選ぶようにしましょう。
偽物のオリーブオイルの見分け方⑤コールドプレス製法で作られているか
オリーブオイルの製法にも注目しましょう。
本物のオリーブオイルは品質をキープするために、コールドプレス製法で圧搾されています。
コールドプレスとは、「低温圧搾」とも言われ、熱が生まれないように低温で搾る方法です。
ゆっくり時間と手間をかけるため、コストを削減することはできません。そのため、大量生産する際には、スピーディーに抽出できる高温処理が採用されます。
高温で抽出するとオイルは酸化してしまうため、非加熱か30度以下の低温で処理されたものを選ぶようにしましょう。
偽物のオリーブオイルの見分け方⑥サイズが大きすぎないか
サイズは、大きすぎない500㎖~1,000㎖程度の商品を選びましょう。
本物は品質をキープできるように、短期間で使い切れる量で販売されています。
大容量サイズのものは、大量生産されている可能性が高いため注意が必要です。
コストカットのために高温で抽出されているものが多く、品質の悪い商品が多いと言っていいでしょう。
さらに、大容量サイズは重量を抑えるため、軽いプラスチック製の容器に入っています。
プラスチック製の容器は光や酸素の影響を受けやすく、使っているうちにどんどん品質が低下していきます。
品質をキープするため、開封してから1~2ヶ月で使い切れる量のものを購入しましょう。
偽物のオリーブオイルの見分け方⑦1mlあたり3円以上の価格帯か
安すぎる商品も注意が必要です。
本物のエキストラバージンオリーブオイルはオリーブの実だけを原料とし、化学的に加工せず手間暇かけて作られています。
そのため価格が高くなる傾向にあり、1本で数千円から数万円するようなものまであるのです。
しかし、日本のスーパーで売られている商品は、安価に購入できるものが多く並んでいます。
確実に本物のオリーブオイルを購入したいなら、1㎖あたり3円以上のオリーブオイルを購入しましょう。
偽物のオリーブオイルの見分け方⑧味見をして風味がいいか
テイスティングが可能な場合は、風味がいいかを確認しましょう。
本物と偽物では、香りや風味が全然違います。
オリーブオイル専門店など、お店によっては味や香りの確認にテイスティングをさせてもらえるところもあります。
本来のエキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの果実を搾っただけのものです。
ジュースのように果実の風味が強く、サラっとしていて爽やかです。
偽物の場合は、オリーブ特有の青みのある香りがない、または揚げ物で使ったあとのような古く酸化した油の匂いがすることがあります。
味見やテイスティングができる場合は、オリーブのフレッシュで爽やかな香りを感じられるかを確認しましょう。
可能な限り本物のエキストラバージンオリーブオイルを使うように心がけよう
多くの方に親しまれているエキストラバージンオリーブオイルには、実は本物と偽物が存在します。とくに日本では偽物が多いと言われています。
日本のオリーブオイルに偽物が多い理由は、以下の通りです。
- 日本の品質基準と国際基準が違うため
- ラベルの産地はボトル詰めされた国であるため
- JAS規格に違反していても処罰されないため
また、偽物のオリーブオイルがダメな理由は、以下の通りです。
- トランス脂肪酸が万病の元になる
- 体がサビついて老化が進む
- アレルギー症状につながる可能性がある
- 発がん性の可能性がある
以上のように、偽物のオイルを使い続けることは、健康を害する可能性が高くなってしまうのです。
偽物のオイルを回避するためには、いくつかの見分けるポイントがあります。
体に良い本物のオリーブオイルを見分ける方法は、以下の8つをポイントにします。
- 遮光性のあるボトルに入っているか
- 酸度が0.8%以下か
- 品評会などの受賞歴はあるか
- オーガニック認証マークがついているか
- コールドプレス製法で作られているか
- サイズが大きすぎないか
- 1mlあたり3円以上の価格帯か
- 味見をして風味がいいか
以上のようなポイントをチェックできると、偽物を選ぶことは減るでしょう。
ただし、全てをクリアするエキストラバージンオリーブオイルは、かなり高価であることが多いです。それくらい、本来のエキストラバージンオリーブオイルは高価なものであるのです。
少量サイズを購入して早めに使い切るなど、無駄にしないように工夫しましょう。
ぜひこの記事を参考にして、健康な体のためにできるだけ本物のオリーブオイルを使うように心がけましょう。
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